共有

第347話 謎の男子

「でも、彼女の靴を持ってあげたとしても、彼女はあなたたちなんて必要ないだろうけど」

そう言って、美和は怒りながら去っていき、残された人たちは顔を見合わせた。

鳴門はまだ追いかけようとして、「美和、ちょっと待ってくれ!」って言ったんだ。

でも、次の瞬間。

誰かに止められた。

「なんで追いかけるんだ?

彼女はもう昔の清水さんじゃないんだぞ?」

鳴門は訳が分からなくて、「それってどういう意味?」って聞いた。

「お前、彼女が三井鈴を怒らせたの知らないのか?三井家族がもう情報を流してる、清水グループを一週間以内に買収するって。

今、清水グループは危機的な状況なんだ。清水家族は彼女の経済的な支援を全て断ったって聞いたし、もうあまり関わらない方がいいよ」

その言葉を聞いて、鳴門は追うのをやめた。

彼は考え込んで、「早く知ってたら、三井鈴を怒らせなかったのに。三井家族とつながれたら、あっという間に成功するのに!」って言った。

「ああ、後悔するなって言うなよ、ここにいる誰もがそう思ってるだろ?」

美和は自分の元部下たちの考えなんて知らなかった。

ただ、彼女が一人で駐車場に向かっていると、誰も追いかけてこなかった。

美和はイライラして足を踏み鳴らしたけど、どうすることもできなかった。

駐車場の遠くで、三井鈴がロールスロイスのファントムの横で電話をかけているのを見て、嫉妬の炎がもくもくと燃え上がった。

「三井鈴、これ全部あんたのせいだ。絶対に許さないからね」

美和は車に乗り込んで、アクセルを思いっきり踏んだ。なんと、三井鈴に向かって突進していった。

「気をつけて——」

男の焦った声が聞こえた瞬間、三井鈴の手から携帯が落ちた。

その直後、彼女は強い力で押されて、目が回るような感覚の中で温かい抱擁に落ち込んだ。

鼻先にはほんのり檀香の香りが広がってきた。

三井鈴が顔を上げると、相手はマスクをしていて、目以外は何も見えなかった!

「あんた誰?」三井鈴が声を出した瞬間、何かがぶつかる音がした。

その車は横の柱に激突した。

美和は慣性で前に体が倒れ、我に返ると、後部座席の三井鈴が無事なのを後ろのミラーで見た。

彼女は悔しくてハンドルを叩いたが、三井鈴に見られたくなかった。

急いで左にハンドルを切り、そのまま逃げ出した。

三井鈴は逃げる美和に
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status